湖山医療福祉G、特養に”映像美術館” アートと福祉コラボ

【高齢者の介護・医療ニュース】

 湖山医療福祉グループ(東京都中央区)は3月25日・26日、埼玉・草加と神奈川・川崎で相次いで特別養護老人ホームの竣工式を開催した。「映像美術館」などの共有スペースを設け、入居者に”アート”をテーマとした新たな環境を提供する。

 竣工を迎えたのは、社会福祉法人草加福祉会(埼玉県草加市)が運営する「アートフェリス」(同)と、白山福祉会(神奈川県川崎市)が運営する「ラスール麻生」(同)。

 アートフェリスは「幸福をもたらすアート、人生を表すアート」をテーマにしており、全館で103台、特に最上階に設けた地域交流室には36台のプロジェクターを設置。竣工式ではシルクスクリーン作家志村博氏監修の下、デモンストレーションが行われた。志村氏は竣工の挨拶で「たくさんのプロジェクターを使い、美しい映像で夢が広がる空間にしたい。アートの持つ豊かさや感受性を高齢者に伝えられたらうれしい」と語った。

 同施設の屋上には太陽光発電システムを導入。銀座ミツバチ(東京都中央区)が草加福祉会から屋上の一部を無償で借り受け、太陽光パネルを設置した。発電容量は10キロワット。余剰電力は20年契約で東京電力に売電する。太陽光発電システムの設計・施工はウエストエネルギーソリューション(東京都新宿区)が手掛けた。

 銀座ミツバチは屋上を無償で借り受ける代わりに、同社が福島市で栽培した大豆から作った「銀ぱち手前味噌」を施設に提供。開設式に合わせ、湖山泰成代表に10キロ分の味噌を届けた。銀座ミツバチでは今後年2回、定期的に味噌やリンゴを届ける予定。

 「銀ぱちに屋根を貸すと、被災地から定期的に美味しいものが届くという試みを、全国の高齢者施設に広げていきたい」(田中淳夫銀座ミツバチ社長)。

 「ラスール麻生」のコンセプトは「レゴブロックによる世代を超えた交流の場となる施設づくり」。一階の地域交流ホール壁面のモニュメントは日本初のレゴ認定プロビルダーである三井淳平氏が製作を担当した。

 三井氏は「レゴは50年前から全世界で利用されており、子供から高齢者まで交流できるアイテム。このレゴで、仕切りのない共通の話題のきっかけとなって欲しい」とアートミュージアムのスタートを語った。玄関には法人役職員、設計施工業者、地域など約750体の名前とミニフィグが設置されている。湖山代表は、「介護には文化的な刺激が必要。作品の鑑賞や活動などを通じ、その土地で生きて老いる人たちと共に地域を施設で表現していきたい」と特養が多世代交流の場となるべく想いを語った。

 「アートフェリス」は110床(ショート含む)、「ラスール麻生」は136床(同)。

(2014年4月9日号)高齢者住宅新聞