有老事業者買収・・・東京建物 在宅介護の子会社立ち上げ

【高齢者の介護・医療ニュース】

 大手不動産デベロッパーの東京建物(東京都中央区)は高齢者住宅事業を拡大させる。9月1日、埼玉県で3棟の有料老人ホームを運営する誠愛苑(さいたま市)の全株式を取得した。また、同日付で居宅介護支援・訪問介護事業を手掛ける100%子会社東京建物シニアライフサポートが営業を開始した。

介護まで一貫し対応する体制に

 同社では、これまで「グレイプス」のブランドで東京都台東区・埼玉県ふじみ野市サービス付き高齢者向け住宅(以下・サ付き住宅)を開発・運営してきた。ただし、生活相談や見守りなどの入居者向けサービスについては、やさしい手(東京都目黒区)やツクイ(横浜市)と提携し、これらの会社が建物内に事業所を開設する形で行っている。

 こうした中で、先月には、人材サービス会社のジェイコムホールディングス(大阪市)より、有料老人ホーム運営事業者サンライズ・ヴィラ(神奈川県厚木市)株式の約33%を取得するなど、自社でサービスまで一貫して取り組める体制づくりを進めてきた。

 今回の新会社設立とM&Aは、そうした取り組みの一環として実施されたもの。今年11月に開設予定のサ付き住宅「グレイプス大森西」(東京都大田区・56戸)がサービスまで自ら取り組む第1号案件となる。

 「もちろん、これまで通り提携先の介護事業者にサービス提供を行ってもらうケースもありますが、より『東京建物グループが考える介護』を打ち出したい場合や、マーケット状況などから提携先の介護事業者が開設することが難しい場合などは、当社でサービスを提供することになると思います」(東京建物シニアライフサポート加藤久利社長)

土地案件などに柔軟に対応可能

 今回子会社化した誠愛苑は1990年設立。現在「アドニスプラザ大宮」「サンスーシ北浦和」「サンスーシ大和田」の3棟の有料老人ホーム(いずれもさいたま市。合計167戸)を運営している。資本金は1000万円。なお、買収額は非公表。

 「これまで、東京建物グループが手がける高齢者住宅はサ付き住宅のみでした。入居ニーズの多様化や様々な土地案件に対応していくには、そこに有料老人ホームを加え、メニューの拡大を図る必要性があると考えました。今後は、グループとして有料老人ホームの新規開設も検討していくことになるでしょう」(加藤社長)

 今後も東京建物では、高齢者住宅の開発を進めていく。前号(9月3日号)の「グレイプスガーデン西新井大師」、今回取り上げた「大森西」以外にも、2016年10月までに東京・神奈川で6案件・合計521戸の開設を予定している(運営受託物件含む)。



(2014年9月10日号)高齢者住宅新聞