「紹介事業」抑制、報酬減が有効 在宅点数見直し、1年前より検討

〜高齢者の介護・医療ニュース〜

【診療報酬改定 厚労省保健局に聞く】「紹介事業」抑制、報酬減が有効 在宅点数見直し、1年前より検討

訪問診療料は既に引き下げ

―今回の集合住宅向け診療報酬の引き下げで、医療・高齢者施設業界は大騒ぎになった。

 「確かに、市場に与えたインパクトは大きかったと思うが、今回の改定をこれまでの在宅医療を見直すきっかけにしてもらいたい。集合住宅への診療報酬を見直すことについては、不適切事例の問題等を受けて昨年2月13日より中医協で議論されてきた。報酬を4分の1にすることについても『すでに同一建物居住者に対する引き下げが導入されている在宅患者訪問診療料に合わせるべき』との議論が昨年10月23日の中医協でなされており、それらの資料等も公開している。決して急に出てきた話ではない」

不必要な医療提供の可能性

―減算の理由は問題視された「患者紹介ビジネス」にあるのか。

 「昨年8月にマスコミで大きく取り上げられ、紹介料が授受されていることや、過剰に診療が行われているなどの不適切な事例が存在しているとの指摘がなされたことをきっかけに、緊急調査を実施し、『特定の医療機関で月に2回の訪問診療を受けることを入居条件としている高齢者住宅』や『入居者の9割に訪問診療が行われている』などという不適切な事例が確認された。医療機関に対しては『患者の選択権を制限』『過剰な診療提供』などに加え、今回は経済的誘因による患者紹介を受けることを禁止した健康保険法上不適切な行為に該当するものとしての対応が可能。しかし高齢者施設や仲介事業者については、キックバックや家賃補填等に対して違法行為として取り締まれるような法律がないため、未然防止の観点から診療報酬引き下げという形で対応せざるを得ない。中医協等では、『不適切な仲介業者や住宅側を取り締まるべき』との声もあったが、『省としてはこれくらいのことしかできなかった』というのが本音。以前、コンタクトレンズの販売においても今回と同様の問題が起こったことがある。その際も直接業者を取り締まることはできず、報酬の引き下げと指導・監査という形で対応したことがある」(4月2日号に続く)(3月26日号)高齢者住宅新聞