「未届けホーム」911件 厚労省調べ 自治体に指導徹底を要請

【高齢者の介護・医療ニュース】

 厚生労働省は7月3日、未届有料老人ホームなどに対する自治体の指導状況などに関する調査結果を発表した。それによると、昨年10月末時点での未届有料老人ホーム数は911。また、141のホームで前払い金の保全措置が講じられていない。

未届施設の割合過去5年で最多

 この調査は、前年の10月末日時点の数値を発表しているもので、今回が5回目。昨年10月31日時点の有料老人ホーム数は9827件。そのうち911件が必要な届け出を行っていない。未届ホームの割合は9・3%で2012年10月末時点より4・4ポイント増加した。過去5年間で最も高い数値となっている。

 2012年10月末時点で未届だったホームは403件。このうち、有老ホームに該当しないと判断されたものは52、その後届出を行ったものは98で、253件が未届のままとなっている。2012年11月1日以降の1年間で新設されたり、新たに存在が把握されたりした有老ホームは1711あったが、このうち658ホームが届出を行っていないことが、未届ホーム急増に繋がっているといえる。

前払い金保全1割強が未実施

 前払い金の保全については、2006年4月1日以降に設置され、前払い金を徴収している1201ホームのうち、1060ホームが保全措置を講じている。

 保全方法は、銀行等の連帯保証が最も多く424。次いで(社)全国有料老人ホーム協会(東京都中央区)の入居者生活保証制度の活用が333件、信託会社の活用が288件、その他が15件。141ホームが保全措置を講じていない。

 この結果を受け、厚労省では、同日付で都道府県・指定都市・中核市に対し(1)届出促進指導などの取り組みの徹底(2)前払い金の保全措置が必要なことの事業者への周知徹底(3)前払い金保全措置を講じていない事業者に対する指導の徹底などについて要請した。特に(3)については、悪質な場合には罰則適用も視野に入れた上で指導を行う様求めている。

有老ホーム団体会員に注意喚起

 これを受けて有料老人ホームの業界団体も動きを見せている。(社)全国有料老人ホーム協会(東京都中央区)は7月3日、ホームページ上に厚生労働省自治体に指導を強化する様に要請したとの情報を掲載し、事業者に対する注意喚起を行っている。

 また(社)全国特定施設事業者協議会(東京都港区)は「保全を含む入居金の扱いについては、法令・指針等を遵守するよう以前より会員に対して指導してきた。今後も継続して会員の意識啓発に努めたい」とコメントしている。



(2014年7月16日号)高齢者住宅新聞