社会貢献を義務化 「社福改革」案まとまる

【高齢者の介護・医療ニュース】

 厚生労働省社会保障審議会福祉部会は2月12日、社会福祉法人制度見直しのための改革案をとりまとめた。内部留保については事業運営に必要な額を除いた財産で社会貢献活動を行う計画作成の義務化を求めた。

 社会貢献活動は「営利企業では実施することが難しく、既存の制度外のサービスを無料または低額な料金で特に生活困窮者に対して提供するもの」と位置づけ、内部留保があり余力のある法人には実施の義務付けが必要だとした。

 そのほか一部法人で会計監査人の設置を義務づけることも盛り込んだ。

改革案に抗議 約200名が集会

 この改革案を受けて、高齢者福祉や保育、障害者福祉などからなる15団体は2月13日、都内で集会を開き、社会福祉法人制度改革に強く抗議した。約200名が参加し、国会議員らに向け要請活動を行った。

 集会を呼びかけたのは、立命館大学産業社会学部の石倉康次教授ら4名の有識者

 当日、基調講演した石倉教授は安倍内閣が推し進める社会保障改革は「社会福祉の市場化・営利化をさらに促進させるもの」だとし、その内容を問題視した。中でも、社会福祉法人制度改革で社会貢献活動の強制を求める議論について、「国の公的責任を縮小し、社会福祉制度の穴埋めを社会福祉法人に転嫁するものだ」と強く訴えた。

 参加団体から、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の家平悟氏は、障害者支援の報酬について「そもそもが人権が守られる報酬水準になっていない」とし、社会福祉法人に「収益を余らせて地域貢献をさせることは人権の質をむしり取るものだ」と抗議。まずは人材の処遇改善とサービスの質向上を優先させるべきだと訴えた。



(2015年2月25日号)高齢者住宅新聞