千代田区、エーザイと協定 23区初 認知症支援で

【高齢者の介護・医療ニュース】

 東京都千代田区は先月17日、エーザイ(同文京区)と「認知症を地域で支えるまちづくり連携協定」を締結した。区が実施する認知症サポーター養成講座への講師派遣などについて連携を図る。協定期間は来年3月31日まで。エーザイか区が解消しない限り1年毎に延長される。

早期発見が目的 講師派遣等協力

 区内の要介護認定者は2014年度で推計2083人。その内、認知症高齢者は約半数を占める。
 
 また、認知症高齢者の早期発見を目的に行った区の訪問調査によると、自立している高齢者の内、将来的に要介護となる可能性の高い高齢者は、認知症を含め3割程度潜在していることが判明している。

 この事実を踏まえ区は、認知症治療薬の研究開発だけでなく認知症に関する地域支援活動を各地で展開しているエーザイと、認知症の人への支援体制や効果的な取り組みを連携して行う協定を締結することとなった。以前より、区が実施する認知症サポーター養成講座にエーザイ社員が参加するなど協力関係があったことも背景にある。

 協定の内容としては、(1)区が実施する認知症サポーター養成講座などへの講師派遣・資料の提供、(2)他団体の認知症に関する効果的な取り組みなどの情報提供、(3)認知症の人の支援体制づくり強化がある。

 同区役所で行われた締結式で、松前謙司エーザイ・ジャパンプレジデントは「製薬を通じて30年もの間、認知症患者と触れ合うことでスキルやノウハウを培ってきた。少しでも千代田区で生活する認知症高齢者のみなさんのお役にたてれば幸い」とコメント。また、石川雅己区長は「認知症高齢者が住み慣れた地域で生活するため、行政の力だけでは難しいことも多くある。専門家の力を借りられるのはとてもありがたい」と述べた。



(2015年4月1日号)高齢者住宅新聞