【連載第11回 認知症ケアの理想像】全国グループホーム団体連合会・林田俊弘副代表

 認知症ケアに関して各界有識者の意見を聞く企画。今回は、全国グループホーム団体連合会の副代表でNPO法人ミニケアホームきみさんち(東京都練馬区)理事長の林田俊弘氏に話を聞いた。

−−運営施設職員への指導内容について教えてください。

林田 人の生活から離れた見守り方をしないよう、徹底して指導しています。例えば、よく知らない人が後をつけてきたら誰でも嫌に感じると思います。認知症高齢者にとってもそれは同じです。いつも会話し好意的な職員に対しては「一緒に散歩についてきて欲しい」という感覚になるでしょう。職員には「入居者にそう思ってもらえるような存在になるように」といつも伝えています。
 また、家族から、職員の負担を軽減するためにカギをつけて欲しいと気遣ってもらったことがあります。そこで、実際に職員1人のみにカギを渡し、ほかの職員が出入りするときは常にその職員に声をかける習慣をつけたところ、自由ではないことがどういった状態なのか、そして息苦しさ、煩わしさを実感したようで「やはりカギをかけることは良くない」という意識につながりました。

−−認知症高齢者が地域で暮らしていくためにはどのような仕組みが必要だと思いますか。

林田 認知症カフェに来てもらったり認知症サポーター養成講座を受講してもらったりと、認知症について知ってもらうことが大切です。また、地域にあるグループホームや小規模多機能型居宅介護などの既存サービスを知ってもらい、活用してもらうことも重要です。既存サービスを周知することが、地域全体での見守りへの一歩につながると思います。



(2016年7月27日号)高齢者住宅新聞