自己負担2割、来年8月から 年収280万円以上対象

【高齢者の介護・医療ニュース】

 厚生労働省は、一定所得以上の高齢者の介護保険自己負担2割引き上げを来年8月から実施する方針を固め、1月29日に行われた自民党の「社会保障政策に関する特命委員会・厚生労働部会合同会議」に提示した。また、引き上げ対象は、年間の年金収入が単身で280万円以上とする。現在行われている通常国会での改正介護保険法案提出・成立を目指す。

所得確定時期と医療保険を考慮

 介護保険制度改正は来年4月1日に予定されているが、前年の所得の確定が夏になることを受け、実際の負担引き上げは8月からとする。過去に実施された医療保険の負担割合の引き上げでも、実際の引き上げは8月に行われており、これを踏襲した形だ。

 厚労省では、昨年の社会保障審議会介護保険部会の議論では自己負担を2割に引き上げる所得水準として、(1)被保険者の上位2割(単身年収280万円)(2)課税増の上位半分(単身年収290万円)、の2案を示してきたが、昨年12月17日に(1)案を自民党厚生労働部会に示していた。

 なお、厚労省ではこの基準で利用者負担の見直しを行った場合に、介護保険給付費全体で年度当たり750億円の削減効果が、1号保険料では月当たり40円の削減効果が見込まれる(いずれも第6期平均)と試算している。ただし、社会保障審議会介護保険部会でも「もっと多くの人たちを2割負担としないと介護保険財政危機は解消しない」との指摘が一部委員から出る一方で、「年収200万円台の人を2割負担にしたら介護保険サービスの利用を抑制せざるを得ない」との意見もあるなど、基準案が適当かどうかについては意見が大きく割れていた。

 また、一定以上の資産保有者(預貯金額が単身者で1000万円以上、夫婦世帯で2000万円以上)に対する特養入所時の補足給付打ち切りも来年8月から実施する。(2月5日号)高齢者住宅新聞