人生最期の栄養摂取法 「意志決定ノート」成果報告

【高齢者の介護・医療ニュース】

 RISTEX研究開発プロジェクト「高齢者ケアにおける意思決定を支える文化の創成」が主催するシンポジウム「人生の最終段階のケア〜考える文化の創成に向けて〜」が2月9日都内にて開催された。「人工栄養をめぐる意思決定プロセスノート」の最新の研究成果とその事例について、報告とディスカッションを行った。

 プロセスノートは、東京大学死生学・応用倫理センターの会田薫子准教授、同清水哲郎特任教授が開発した。人生の今後を見渡して、疾患や障害によりどういう治療を希望するかを予め示しておくもの。ケアの方針や受けない治療など、身体の状況に応じて自らが望む医療ケアを記入することができる。

 「人生最期の栄養の摂り方について〜」と題して講演を行ったみやぎ県南中核病院の二井谷友公部長は、ANH(人工栄養、経鼻経管、胃ろう、中心静脈栄養など)を実施しないため、「嚥下評価シート」「胃ろう情報ファイル」を用いた活動を紹介した。「プロセスノートはあくまでツールで、合意モデルによる決定が基本姿勢になる」と言及。その上で「胃ろうは単なる道具であり、結果・目的ではない」と述べた。

 また清水教授は「治療の標準的な対応を確立させることも必要。その上で個人的なオプションを予め意思表示することが大切」と話し、引き続きノートの効果を検証するという。

 これに対し二井谷部長は「日本の医療は、決定を医師に任せすぎだと感じる。かかりつけ医のように、人と人とのつながりがとれた文化では、ノートも必要なくなるのではないか」と話し、日頃の話し合いの必要性を強調した。(2月19日号)高齢者住宅新聞