「紹介ビジネス禁止」明記 薬局選択にもルール制定

【高齢者の介護・医療ニュース】

 今回の診療報酬改定により、急性期7対1病床の入院基本料算定の条件が在宅復帰率75%以上となったことで、「病院から在宅」の流れは加速すると言われる。一方、同一建物居住者への在医総管・特医総管の大幅減額はその流れを逆行させるものと危惧される。3月5日の厚労省が実施した「説明会」で緩和措置は出たものの、取り繕った感は否めない。報酬改定の背景をさらに探っていく。

1月に37人訪問 極端な事例も

 3月5日の説明会では、改めて今回の減算のきっかけになった、患者紹介ビジネスについて厚労省の見解が発表された。「医療機関が事業者等に対して金品を提供し、患者を誘引すること」とその定義を明記。具体例として「医療機関が、患者紹介に関する契約書を取り交わす等して、診療報酬の中から一定の金額を支払う」「事業者等から、同一建物の居住者を独占的に紹介してもらい、患者の状態にかかわらず、一律に訪問診療を行う」ことを掲げ、それを禁止した。

 患者紹介ビジネスについては「過剰な医療が提供される可能性がある」ことが問題点として指摘されていた。厚労省では、過剰な診療事例として「診療所開設者の親族が経営する高齢者施設入居者約300のみを対象に訪問診療を実施。1日当たりの訪問人数は36・9人。1人当たりの平均訪問時間は5分22秒〜10分、月の訪問診療回数4〜5回」を掲げている。

 また、医療機関が特定の薬局に患者を誘導することがないよう、新たなルールも定められた。

 具体的には「地域包括診療加算・地域包括診療料を算定する医療機関は患者に対し(1)連携薬局の中から患者自らが選択した薬局において処方を受けるよう説明すること(2)時間外対応ができる薬局リストを文書で提供すること」とした。ただし「在宅で療養を行う患者に対して、在宅患者訪問薬剤管理指導の届け出を行った薬局のリストを文書で提供する場合」は、特定の保険薬局への誘導には該当しない。(3月19日号)高齢者住宅新聞