被災地の昔と今語る 「繰り返し振り返る場を」

【高齢者の介護・医療ニュース】

 (社)日本認知症グループホーム協会(東京都新宿区)が主催する「3・11東日本大震災メモリアル事業 大震災から学ぶ、大規模災害への備え!〜命を守る・グループホームを守る〜」が3月17日、大阪市のCIVI研修センター新大阪東にて開催された。当日は追悼式で献花・黙祷を実施し、協会代表理事の河崎茂子氏が哀悼の意を述べた。

互いに支え合い自立支援目指す

 パネルディスカッション「被災地からの声〜発災時から現在〜」では、佐々木勝則氏(災害対策特別委員会委員長・新潟県)が座長を務め、岩手県代表金田茂氏(ヘルパーはうす)、宮城県代表小笠原猛氏(長寿会)、福島県代表今野秀吉氏(NPO法人豊心会)が被災地の様子を伝えた。

 「避難した小学校から、建物や車が流されていく様子を眺めた」(金田氏)、「3次避難所でわがままを言うようになり、ほっとした」(小笠原氏)。

 今野氏は、「豊かな感情が伴う『普通の生活』、お互いに思いやるという双方向の関係の上に成り立つ自立支援があるのではないか。避難所では、入居者を支えていたのではなく、支えられていた」と回顧。佐々木氏は「これからも語り合い、考える場を設けなければならない」と述べ、繰り返し振り返る必要性を強調した。

 また、(財)ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長・室崎益輝(神戸大学名誉教授)氏が「阪神・淡路大震災東日本大震災から学ぶ、南海大地震等の大規模災害への備え」と題し講演した。

 室崎氏は、南海トラフ地震では、最悪の場合、約30万人の死者、約220兆円の損害、建物被害では、約230万棟の全壊が見込まれると指摘する。

 災害時には特に要援護者にとって過酷な状態を生む。室崎氏は「ライフラインの途絶や医療などのケアシステムが崩壊することにより、ハンディキャップが災害によって拡大する。大震災の死者の過半は高齢者といわれ、障害者の死亡率では、阪神大震災では数倍、東日本大震災で2倍という報告もある。事前の対策、最中の対策、事後の対策を総合的に組み合わせることが必要になる」と話し、減災対策の一つとして社相全体で支え合うシステムの構築を訴えた。(3月26日号)高齢者住宅新聞