ワタミ事例発表会 痰吸引で看取りまで

【高齢者の介護・医療ニュース】

 ワタミの介護(東京都大田区)主催の「第6回ワタミの介護株式会社事例発表会」が3月13日都内で行われ、144事例のうち選ばれた18事例の発表が行われた。テーマは「介護のプロ化と原点回帰」。

 最優秀賞を獲得したレストヴィラ草加松原は夜間痰吸引の取り組みを発表。以前は、夜間に介護職員しかおらず、痰吸引が必要となる入居者を最後までホームで看取ることができなかった。しかし、2011年の法改正で介護職員でも痰吸引が可能になってからは夜間痰吸引のモデルホームに選ばれた。職員7名が2カ月間痰吸引の研修を受け、入居者をホームで看取ることが可能になったという。「現在入居者の10%が痰吸引の対象。今後、夜間痰吸引を施すことがスタンダードになってくると思うが研修機関はまだ少なく、費用や時間の問題も考えなくてはならない」と課題を挙げた。

 社長賞を獲得したレストヴィラ東大和は、スウェーデン介護施設で導入されているシステム「コンタクトパーソン」を持ち帰りその取り組みを紹介。「コンタクトパーソン」とは、入居者の性格や歴史、趣味などあらゆる情報を共有し、寄り添いながら個々に適したケアを実施する職員のこと。レストヴィラ東大和ではこの導入により、入居者のQOL向上に繋がっただけでなく職員のモチベーション向上の一因にもなったという。

 他にも、「参加者にわかりやすく伝えようと思った」という理由から寸劇を取り入れた発表者もいた。

 今回の事例発表会では、全ての事例を見た参加者による投票で順位が決定した。「今までは審査員による投票で順位を決定していたが、職員が『この取り組みを水平展開したい』という目線で選ぶことで事例発表会への参加意識をさらに高めていきたかった」(同社)(4月2日号)高齢者住宅新聞