認知症 アプリで判断 全国初 第三者がチェック

 NPO法人オレンジアクト(東京都大田区)は今月6日、スマートフォン向けの「客観式認知症疑いチェックアプリ」の配信を開始した。第三者が4つの質問に答えるだけで認知症の疑いの有無がわかる「全国初のアプリ」という。

 今月5日、アプリを開発したオレンジアクトが厚生労働省内で記者会見を開いた。開発には、在宅医でもあるオレンジアクトの高瀬義昌理事長と東京大学の五十嵐中特任助教が中心となり携わった。高瀬理事長が所属する医師会を含む大田区3医師会の研究事業において収集した情報を活用し、「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS―R)」との関係を評価しながら判定アルゴリズムを開発した。

イラストで表示 主な質問は4つ

 このアプリはスマートフォンがあれば誰でも無料でダウンロードでき、簡単な操作で93・9%の正確性をもって認知症の疑いがあるかどうかをチェックできる。

 イラストで表示された7つのシチュエーションに対して該当するかどうかを4つの選択肢から回答。質問内容は主に(1)お金などの計算ができない、(2)複数の作業を並行してできない、(3)季節にあった服を選べない、(4)同じものを何度も買ってくる(買い物が上手くできない)の4つ。

 「認知症の疑いあり」とされた場合には、アプリと連携している地域医師会の医療機関を検索することができるほか、地域包括支援センターや地域のイベント活動なども知ることができる。また、アプリにより認知症の疑いがある人の情報を自治体と共有することもでき、地域による認知症アウトリーチ事業の実現を支援することも目的としている。

 「疑いなし」の場合は、一般社団法人あなたの後見人(東京都港区)との連携により任意後見人の無料相談窓口を紹介。

 高瀬理事長は「このアプリは認知症を診断するものではなく、あくまで『疑いの有無』を検証するもの。本人による認知症の早期受診は現状では難しく、あるNPOの場合は2000人に啓発を行いたった1名しか受診に繋がらなかったケースもある。来るべき未来に備え準備をしていくことの重要性を発信していきたい」とした。

 現時点で連携しているのは大田区3医師会のみだが、ほかの医師会や自治体とも連携し、今後10年以内に100以上の自治体での活用を目指す。



(2015年8月12日号)高齢者住宅新聞